薬膳とは

 薬膳は、中国伝統医学(中医学)の理論をもとに、食材を選び、つくられる食事のことです。  中医学の歴史は古く、数千年にも及びます。薬膳についても、紀元前200年以上前の中国・周の時代にすでに「食医」と呼ばれる役職がありました。皇帝の健康を守るための食事、つまり薬膳を提供する人のことです。中医学も薬膳も、数千年という長い年月に渡る臨床経験と知見の積み重ねで確立されたものです。  薬膳は「薬」という字が入っているため、生薬(漢方)を使った料理というイメージを持たれることが多いですが、必ずしもそうではありません。「体が今、何を必要としているか」「体調は、心の調子はどうか」という中医学の理論にのっとっていれば、普段の食材でつくるお味噌汁もお浸しも炒め物もれっきとした薬膳になります。  薬膳の「薬」は、薬食同源ということであり、「すべての食べ物には薬効がある」という考え方です。日々の食事で不調を治す、そして体と心のバランスを整えることで未病(病を事前に防ぐ)という意味を含んでいます。 そして、なにより薬膳は「おいしい」ということが大前提です。食材が持つ薬効を「おいしく」いただくことで気を充実させて心身を元気にする、これが薬膳の使命だと思います。