梅雨の時期は、五行に当てはめると長夏(ちょうか)になります。長夏とは、暑くて雨の日が多く、湿気の多い時期のことです。
なぜ五行の夏と秋の間にあるのかというと、本来中国では夏の終わりから初秋にかけてが暑くジメジメする期間だからです。
この時期、体に悪さをするのが湿邪です。外気の湿度が高いと、体内にも湿が溜まってしまい、様々な影響が出ます。
五臓の中で一番、湿邪のダメージを受けやすいのが脾です。脾は湿が大嫌い。食べ物から得た栄養を全身に運搬する、とても大切な役割を担っている脾に湿が溜まると・・・
・食欲不振
・倦怠感
などが起こります。さらに湿邪は水分代謝を悪くし、下半身に症状がでやすく
・軟便
・むくみ
・湿疹、おりもの、水虫のトラブル
なども起きやすくなります。
湿邪のトラブルは「治りにくく・長引きやすく・再発しやすい」(性質までも粘着質です・・)。しっかりとケアすることが大切です。
《長夏の養生ポイント》
◇脾にいいもの×湿を取るもの を食べる
ハトムギ、大豆、あずき、枝豆、緑豆、とうもろこし、鴨肉、鯉、鯛、すずきなど
豆類は脾にやさしく、湿を取るものが多いのでぜひ積極的に食べたい食材です。お腹に負担をかけないお粥などもおすすめ。
◇香りがあって気を巡らせるものも取り入れる
紫蘇、バジル、香菜、らっきょう、カルダモン、山椒、柑橘類など
香りのものには気を巡らせるものが多く、滞った水分代謝も巡らせてくれます。香りで食欲増進の効果も。
◆NGなもの
甘いもの、冷たいもの、油っこいものは湿を呼ぶ(体内に湿を溜めやすい)ので摂りすぎに注意しましょう。
◇生活の養生
冷房などで体を冷やしすぎない、軽い運動・湯船に浸かるなどして適度に汗をかくことも湿をためない養生ポイントです。
また、ストレスは脾に負担がかかるので、雨やジメジメで憂鬱になる時は家でのんびり過ごすなど、できるだけリラックスを心がけましょう。
長夏(梅雨)に起こる体の不調は、聞くだけで気が滅入ってしまいそうな症状ばかりです。お天気も悪く、梅雨はつい悪者にされがちですが、この時期の雨は自然界の植物や、春に種を撒いた農作物を生長させるのに大切な役割を果たします。人間も同様に、適度な潤いは必要です。
問題は、それが過剰になってしまう、またはそれに適応する抵抗力が無いことです。早めの対策で、梅雨シーズンも軽やかに過ごせるよう、養生していきましょう。